
データ駆動型推論の数理・計算基盤構築と高次元計測への展開
文部科学省 科学研究費助成事業 学術変革領域(B)
本研究領域では、データ駆動型推論の数理的理解や高次元問題、特に流体計測への適用を目指します。
データ駆動型推論とは、シミュレーションによって生成したデータをもとに深層ニューラルネットワークなどの機械学習モデルを学習して、シミュレータのパラメタ推論を行う技術です。推論を高速に行ったり、複雑な事後分布を表現したりできると期待されています。データ駆動型推論は様々な科学研究やエンジニアリングの分野で活用されていますが、数理的な理解や、流体計測などの高次元問題への適用等で課題が残っています。本研究領域では、数理解析・機械学習・流体計測の研究者が協働してデータ駆動型推論の理論や技術を研究します。

A01 数理解析
(代表: 池田 正弘)
非線型偏微分方程式の解析を通して、データ駆動型推論の理論的裏付けを行います。特に、クープマン作用素などを用いた作用素論的力学系解析を用いて、データに基づく計算と親和性のある知見の獲得を目指します。また、複雑な流体現象を記述する微分方程式の大域適切性理論を構築し、流体運動の理解を進めます。
A02 機械学習
(代表: 武石 直也)
データ駆動型推論のための機械学習手法の高度化・高効率化によって、高次元の問題でのデータ駆動型推論の実現を目指します。そのために推論対象の構造を機械学習に取り込みます。例えば、モデルや訓練データ生成過程の設計において、低次元構造、安定性、周期性などの力学系の構造を活用することを考えます。
A03 流体計測
(代表: 赤嶺 政仁)
データ駆動型推論による流体計測の技術を確立することを目指します。そのために、データ生成方法や推論結果の信頼性を評価する方法などを研究します。また、データ駆動型推論を実際に活用して、乱流ジェット音響を構成する間欠イベントのダイナミクスの実験的な解明を進めます。